初・雨の円覚寺

6年間円覚寺で続きてきた「音語り小津安二郎監督の映画を聞く」シリーズ、今年は初めての「雨」となりました。

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考えてみるといつも本当に秋晴れの円覚寺。今年もずっと晴天が続いていたので、天気予報を気にすることもなく
なんとなく秋晴れだろうと決めていた私。ところが16日17日と雨マークではありませんか。しかもこの雨マーク、東京以外にはまったくないのです。
ほかの都道府県は全部晴れマーク☀。がーん!
16日はしとしと雨となりましたが、17日はなんとか朝のうち降っていた雨もあがりみなさんに「晩春」を楽しんでいただきました。
昭和24年の映画「晩春」は笠智衆さん演じる父周吉と原節子さん演じる娘紀子の物語です。
6年前にこの音語りシリーズを始めたときその第一作品目として作ったのがこの「晩春」です。
それから幾度となく上演してきましたが、言葉に特化して聞いていただくと、嫁ぐ前に父と娘の間で交わされる会話が本当に心にしみる物語です。
娘の幸せを願う父の気持ちがこんなにも素直に表現されているなんて・・・。
読めば読むほどその言葉の重みを感じる作品です。
父周吉の物語の中の設定年齢は56歳。周吉の台詞に「お父さんはもう56だ。お父さんの人生はもう終わりに近いんだよ」という台詞がでてきます。
昭和24年では、56歳はもう老後であり、そのくらいの人生の位置づけの年齢だったんですね。
はい、私もその終わりをもう過ぎてしまいました!


そういえば昨年の円覚寺での出来事。この円覚寺には小津監督もそうですが、私の父・佐田啓二も眠っており、公演の日の朝はお墓参りから仕事が始まります。
昨年、父のお墓に行くと墓石にきれいな緑色のおおきなカマキリがいました。
え?!うちのお父さん、私のこと心配で見に来たのかな?なんておもったのですが、今年はなんと会場となった方丈の間に来客が。

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え?!ついに今年は現場チェックですかーーー。
このカマキリ、終演までちゃんとここにいてすべてを見てから去っていたそうです。

さて、この会場でも常総市の水害に対する募金を集めさせていただきました。
総額50874円募金をいただきました。
東村山の「あん」の公演時に集まった募金と併せてNGO「難民を助ける会」を通して常総市に寄付をいたします。
老人施設、障害者施設の支援に使っていただけることを願って・・・・。
皆様ご協力ありがとうございました。

さてさてあのカマキリはどこへかえっていったのでしょう・・・。
来年もお待ちしていまっせ。お父さん。


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by nakai_otf | 2015-10-18 22:57
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